タイ、ミャンマー、ラオスの3カ国の国境が接する「黄金の三角地帯」ゴールデントライアングル。
かつてはケシ栽培が盛んで、麻薬や覚せい剤の密造地帯のひとつとして悪名をはせたエリアですが、現在は経済成長や取締強化によって治安もよくなり、多くの観光客が訪れる立派な観光地となっています。
メコン川を隔てて国境が分かれているため、ボートでラオスやミャンマーへの一時入国も可能で、1日で3カ国を巡る貴重な体験も夢ではありません。丘の上から見る国境が接する様子も見逃せませんよ。
そのほか多くの観光客が往々するゴールデントライアングルにはどんな観光スポット、グルメがあるのか、ご紹介します。
目次
- 3国が接する国境のシンボル ゴールデントライアングルパーク
- メコン川の豪華な船に乗る金色の大仏様 プラ・プッタ・ナワ・ラーン・トゥー
- 階段をのぼって辿り着く小高いビュースポットが人気 ワット・プラターン・プーカオ
- スピードボートでラオス観光特区へ上陸!メコン川
- 穏やかな自然の向こうに佇む経済特区 ドンサオ島(ラオス)
- メーサイから橋を渡って国境越え タチレク(ミャンマー)
- ゴールドと宝石が輝く聖なる仏塔 シュエダゴン・パゴダ(ミャンマー)
- 繰り返させない負の歴史を学ぶ オピウム博物館
- タイ王室をあげて問題解決を根差す メーファールアン財団のアヘン博物館
- ピリッと辛いタイ風野菜スティック ナムプリック・ヌム
- ハーブとスパイスが香ばしいタイの味 サイウア
- トマトと豚骨の意外な組み合わせがやみつき! ナムニョオ
- ラオス唯一のプレミアムビール ビアラオゴールド
- タイ・ゴールデントライアングルの観光スポットを楽しもう
3国が接する国境のシンボル ゴールデントライアングルパーク
ゴールデントライアングルを訪れたら誰もが必ず訪れるスポットが、ゴールデントライアングルパークにある展望台です。
ここに立てば、タイとラオスの間を流れるメコン川、タイとミャンマーの間を流れるルアック川が合流する3国の国境を目にすることができます。三角形の案内版を前に雄大な景色を眺めたり、門のようなオブジェをバックに記念写真を撮るのもお決まりの定番。
メコン川沿いの遊歩道からツアー発着場にかけての一画には、プラ・プッタ・ナワ・ラーン・トゥーがあり、ゴージャスな船に乗った大きな大仏様が川の安全を見守っています。
ゆっくりと流れる国境を眺めた後は、ここからメコン川をクルーズして、ミャンマーやラオスに出かけるコースもおすすめです。
メコン川の豪華な船に乗る金色の大仏様 プラ・プッタ・ナワ・ラーン・トゥー
プラ・プッタ・ナワ・ラーン・トゥーは、メコン川の上に作られたゴージャスな船の上に大仏様が鎮座した、ユニークな寺院です。
黄金に輝く大仏様は、高さ約16m、およそ70トンもあり、圧倒的な存在感。穏やかな表情や丸みを帯びた顔は、インドから直接影響を受けた初期チェンセーン様式の特徴と言われ、優しく微笑んでいるかのようにも見えます。
船の入口には象のモニュメントがあり、脚の間を通って船に上がれるようになっています。顔の下あたりにある銅鑼を鳴らすとご利益があると言われていますので、試してみてはいかがでしょうか?
目の前の広場にも2頭の象が置かれ、勝利や贈り物を意味する”トゥン”と呼ばれる黄金のモニュメントも6つ並んでいますので必撮です。
階段をのぼって辿り着く小高いビュースポットが人気 ワット・プラターン・プーカオ
メコン川を見守るように丘の上に建つ古寺、ワット・プラターン・プーカオ。
真っ赤な門をくぐり、長い階段をのぼって丘の中腹まで辿り着くと、オレンジ色の三角屋根が特徴的なお寺がひっそりと立ち、堂内には金色の仏像が穏やかな顔をして鎮座しています。
さらに丘を登りきると、跡地のように佇むオリジナルのワット・プラターン・プーカオがあり、その傍らには太平洋戦争タイビルマ戦病没者の慰霊碑が3基建っています。さらにその裏手にすすむと、ゴールデントライアングルを上から見渡せる展望台があり、観光客に人気です。
スピードボートでラオス観光特区へ上陸!メコン川
ゴールデントライアングルの国境ポイントには、2種類のボートがメコン川を走っています。
1つはタイ人・ミャンマー人・ラオス人専用の国際線ですが、もう1つは誰もが利用できる観光ツアー用の船。
国境のクルージングとラオスの観光特区へのショートトリップは、領滞在時間も含めて約1時間30分。ツアーに申し込むと、メコン川とルアク川の三角州付近をぐるっと周回した後、対岸のラオスに一時入国でき、ショッピングなどが楽しめます。
ラオスに上陸するのでパスポートは必要ですがスタンプは押されない、珍しい体験となることでしょう。
穏やかな自然の向こうに佇む経済特区 ドンサオ島(ラオス)
ラオスは5カ国と国境を接していますが、現在入国は、タイもしくはベトナムからのみに限られています。
日本人はパスポートの残存有効期限が6カ月以上あり、滞在日数が15日以内ならビザなしで滞在が可能です。
タイの出入国はサイ・クラーン通り沿いの町外れの船着場になっており、イミグレーションオフィスで出国手続きをしたあと、小型のジェットボートに乗るとわずか10分で到着します。ラオスの入国手続きの支払いはタイバーツででき、入国税を支払うとスタンプが押され、近くのマーケットを見て回ったり、ラオスビールを嗜むのもおすすめ。
また、ラオスは”三角州経済特区”とも呼ばれ、大きなビルやコンドミニアムなど、大規模な経済開発が進んでおり、カジノまでの送迎バスも出ています。テーブルゲームやスロットマシンなどが揃い、初心者用のルーレットもあるので、異国の雰囲気を楽しむにも最適です。
メーサイから橋を渡って国境越え タチレク(ミャンマー)
タイ最北端の町メーサイにはミャンマーとの国境ゲートがあり、徒歩で国境を越えることができます。
この付近は露店も多く、人や物資が行き交い、活気があります。サーイ川にかかる小さな橋を渡るとすぐミャンマーに到着、時差は30分、道路も右側通行に変わります。
通常必要となるビザは、タチレクから入国する場合、パスポートの残存有効期限が6カ月以上あり、国境から5キロ以内で14日間以内の滞在なら不要で、入国税もタイバーツで支払うことが可能です。パスポートと引き換えに顔写真が印刷された入国許可証、エントリーパーミットが渡されるので、なくさないように保管しましょう。帰りは再度引き換えが必要になります。
ミャンマーでは金色に輝くシュエダゴン・パゴダと首長族の村を巡るコースが人気で、ローカル市場に立ち寄るとお土産屋さんなどでも民族の店員さんに出くわします。
ゴールドと宝石が輝く聖なる仏塔 シュエダゴン・パゴダ(ミャンマー)
ミャンマーの人々にとっての憧れの聖地、シュエダゴン・パゴダには、煌びやかに輝く黄金の塔がいくつも立ち並んでいます。
なかでも敷地のほぼ中心に立つパゴダは100mほどあり、信者たちによって寄進されたダイヤやルビーが太陽の光を浴びて煌めく姿や、76カラットものダイヤが埋め込まれた風見鶏を見ることができます。
ミャンマーにあるパゴダでは、生まれた曜日によって異なるミャンマーの「八曜日」に合わせた神様が各方角に祀られています。
参拝の際には自分の生まれた曜日の神様にお参りをするのが通例となっていますので、訪れる前には必ず、生まれた曜日をチェックしてから出かけましょう。ミャンマーでは水曜日だけは午前と午後とを別のものとして考え8つの曜日としているので、水曜日生まれの方は午前か午後かも要チェックです。
繰り返させない負の歴史を学ぶ 212麻薬阿片博物館
ゴールデントライアングルはその昔、麻薬、覚せい剤のの密造地帯として有名でした。
オピウムとはケシの実から作られる天然麻薬アヘンのことで、212麻薬阿片博物館はその負の歴史と怖さを伝えるべく、2001年に設立されました。
規模は大きくありませんが、博物館にはアヘンの栽培過程に関する図解や、取引する際に使用したチーク材の秤、吸引道具などが展示され、”黄金の三角地帯”をつくりあげた麻薬王クンサーについても紹介されています。
アヘンの原料となったケシの花は明るくきれいな花ですが、小屋の中でアヘンを吸う中毒者の蝋人形など、リアルで不気味な展示が生々しく、考えさせられます。
タイ王室をあげて問題解決を根差す メーファールアン財団のアヘン博物館
メーファールアン財団は1972年、故プミポン前国王の故母后によって創設された非営利団体で、貧困に根ざした悪循環(知識の欠如、麻薬栽培、売春、エイズ蔓延)からの脱却を目指し、貧困問題を解決する目的で創設されました。
この財団によって造られたアヘン博物館は、オピウム博物館よりも規模が大きく、14のゾーンに分かれて様々な展示がなされています。
シアタールームではアヘンの歴史が上映され、順路を巡ると、ケシの花の原産国である地中海地域からヨーロッパやエジプト、アジアに渡る過程、アヘン戦争や合法化されていた時代、密輸方法などが紹介され、歴史や経緯を知ることができるようになっています。
展示の最後には、20世紀に世界中で麻薬が禁止されるようになった背景が書かれており、中毒患者の実態に物々しい雰囲気を感じずにはいられない、内容の濃い博物館になっています。
ピリッと辛いタイ風野菜スティック ナムプリック・ヌム
ナムプリック・ヌムは、バーニャカウダーのタイ料理バージョンのような料理です。
野菜や豚の皮を揚げたものをナムプリックというタレにつけていただきます。
ナムプリックは、唐辛子を潰して作ってあり、とても辛いのですが、パリッとした野菜とカリッとした唐揚げがよく合い、タイの料理のスタートに味わう前菜としておすすめです。
ハーブとスパイスが香ばしいタイの味 サイウア
ハーブや唐辛子、ニンニクなどがたっぷり詰まった豚のソーセージ、サイウア。
肉や香辛料だけのソーセージと違い、こぶみかんの葉やレモングラス、パクチーがアクセントになって、少し辛めで爽やかなタイらしい味が楽しめます。
かじってみると旨味たっぷり複雑で深みのある味と香りの高さにソーセージの概念が変わるひとも続出!
ゴールデントライアングルからほど近いチェンマイではぐるぐるととぐろを巻いた姿で焼かれていますので、見つけたらぜひオーダーしてみてください。
トマトと豚骨の意外な組み合わせがやみつき! ナムニョオ
ナムニョオは、カレーやタレをかけて食べるカノムジーンの一種で、米粉でできた白くて細い麺を煮込んだトマトスープで食べる料理です。
スープは豚骨ベースなので濃厚で、スパイシーでパンチのある場合もありますが、トマトの甘みとコクが抜群にマッチ。つるんとした麺と濃厚なトマトスープの相性の良さに驚かされます。
トッピングにはねぎやキャベツ、もやしなどが載っていて、血を固めた煮凝りのようなものもポピュラーなので、ぜひチャレンジしてみましょう。
お好みでレモンを絞ったり、ハーブなども加えて複雑で奥行きのある楽しみ方をする人もいます。
ラオス唯一のプレミアムビール ビアラオゴールド
東南アジアのどこでも手に入り、日本でも売っているビア・ラオ。言わずと知れたラオスのビールですが、かつては東南アジアで一番美味しいビールと言われました。
そのビア・ラオのなかでもラオスでしか見ることがなく、カオカイノイという特別な米を原料に造られるのがビアラオゴールドです。
ゴールドのラベルがプレミア感漂いなんとも魅力的。ラガータイプで飲みやすく、ほどよいパンチもあって、コクとキレが美味しいと評判です。
タイ・ゴールデントライアングルの観光スポットを楽しもう
アヘンの栽培地として軍事衝突や利権争いが頻発し、悪名高く近づくことができなかった地帯、ゴールデントライアングル。
1996年に麻薬王のクン・サがミャンマー政府に投降し、2002年にケシ栽培禁止令が出されると徐々に治安が回復し、現在は観光スポットとしてメコン川クルーズなども楽しめるようになりました。
メコン川の合流地点近くには、土産物屋がびっしり。のんびりとした空気の中、黄金色をした大きな仏像に出会い、川を隔てて左側にはミャンマー、右側にはラオスを眺め、3国を巡るレア体験も魅力。
首長族などの民族の村を訪れたり、カジノを体験してみたり、ここでしかできないオリエンタルな世界が旅の醍醐味になるはずです。